*南さつま歴史街道 - 民俗

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D南さつま市加世田万世の十五夜綱引きずり 【一般文化財】

南さつま市万世の十五夜綱引きずり 綱引きずりは、鹿児島の海浜部で見られる旧暦八月十五夜行事。習俗は、1.ワラ・カズラ集め→2.ツナネリ(十五夜綱綯う)→3.綱引きずり→4.相撲。子供たちが集落内を、綱をひっぱって回る。小松原・相星のある加世田の万世地区では、綱引き合戦はせず、この綱引きずりだけを行う。「十五夜お月さん、はよ出やれ、子供が喜び綱を引く、エーッサッサ、エーサッサ」と歌う。(2002.9.21旧暦8月15日調査 南さつま市加世田小松原・相星)
ビデオ:南さつま市加世田万世の十五夜綱引きずり

E南さつま市坊津町上之坊の十五夜お月様作り(「南薩摩の十五夜行事」の一つ)【国指定】

南さつま市坊津町の十五夜お月様作り 南さつま市坊津町から南九州市知覧町に伝わる各習俗を指定した国指定重要無形民俗文化財「南薩摩の十五夜行事」の一習俗。
 先に紹介したDの習俗は子供組が中心の和やかな行事だが、ここでは子供とともに、二才衆の威勢のよい声が響く。
【綱引き】二才組と、集落民を含めた子供組みが、坂道の上下に分かれて引き合う。1.役員による口説き歌→2.二才組の子供組への走り込み(飛び込み)→3.二才組対子供組の綱引き→4.子供組の綱切り・綱隠し→5.二才組の綱探し・綱つなげ。
【お月様作り】十五夜綱の材料となった小綱をつなぎ合わせて輪を作り月を描く。綱は「コマイケ」 といい、小さく巻いたものという意味。掛け声は「ヨイヨイヨイヤナ、ハーレヤナ、ハーレヤナ、ヤットコセー」。(2006.10.6旧暦8月15日調査 南さつま市坊津町上之坊)
ビデオ:南さつま市加世田万世の十五夜綱引きずり

表5 旧暦8月〜12月の習俗から
旧8/15 【十五夜】十五夜綱引き・相撲 市内各地 ツナネリ(綱綯い)には、櫓を組む方法と地面に置いて綯う方法がある。
旧8/15 【十五夜】万世の綱引きずり 加世田
万世
綱引き合戦はせず,綱を集落を引きずって回る綱引き。竜神が集落を清めて回るとも解される。
旧8/15
【国】
【十五夜】南薩摩の十五夜行事 坊津町
各地
【準備の習俗】鳥越のカヤヒキ(茅引き)・カヤスボイ(茅すぼい)・ヨメゾツクイ(嫁じょ作り)・ヒトボシ(火灯し)・テツナッゴ(手つなっご)・ドントセ(おしくら饅頭)、上之坊のヒトボシ、泊の八朔・スジマワリ・十五夜相撲、平原の茅被り・茅カル(背負い)、各地のツナネリ(綱綯い)等。【当日の習俗】鳥越のツジマワリ・シベオドイ(しべ踊り)・、上之坊の綱引き・綱上げ・お月様作り、泊の宮参りスジマワリ・十五夜踊り、各地の綱引き等。
旧8/15
【市】
【十五夜】泊の十五夜踊り 坊津町
男子の十五夜綱引き行事群と女子の十五夜踊り行事群の2系列からなる十五夜行事。
10〜11月 【秋祭り】豊祭・内神祭り 市内各地 集落の神社で行われる秋祭りを「豊祭(ほぜ)」と呼ぶ。門ごとの祭りを内神祭り(ウッガン祭り)と呼ぶ。霜月祭り。
10月1日 【金屋子神講】金山講 加世田
小湊屋敷
加世田鍛冶職人の講。カッコ(金山講)と呼ばれる金屋子神(鍛冶の神)を祭る。掛け軸2本が伝わる。
10月
第3日曜
【豊祭】坊八坂神社の十二冠女 坊津町
坊八坂神社ほぜどん(秋祭り)の御神幸。頭の上に桶を載せた少女が行列を作る。
10月27日
【県】
【豊祭】津貫豊祭太鼓踊 加世田
津貫
秋祭り豊祭の太鼓踊り。大太鼓の青年が外円に,小太鼓の女装少年が内円に。
旧11月
一申の日
【山神講】大木場山神祭り 大浦町
大木場
大草履を運ぶ祭り。大木場の伝説では、境界に掲げ「大男」のいるムラを示したという。
12月
24・25日
【歳の市】加世田歳の市 加世田
本町
「市のカゼにあたると,来年も元気で過ごせる」と言われる。正月準備の市。22・23日は万世歳の市だが近年は廃れた。

4 まとめ - 地域文化財の再評価

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