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例会研究発表要旨

2011年度鹿児島民具学会例会

■横瀬地区(霧島市)の共浴場・旧慣温泉権の今日的意義

牧洋一郎

 藩政期の古くから、集落住民の福利増進目的で存続してきた旧慣温泉権の現代的温泉利用の在り方と今日的意義を現地調査した。

 霧島市牧園町の横瀬地区には、慶応元年より住民らにより管理がなされてきた共浴場(通称、横瀬温泉)がある。炭酸水素塩泉で、神経痛や関節痛、疲労回復などに効能が有る。以前は、どぶ(温泉水)に渋柿を浸け渋抜きにも利用されていた。現施設は住民総出による手造りの木造平屋(平成11年建替)で、農水省の「ふるさと水と土ふれあい事業」を利用したものである。なお、昭和61年の「高千穂地震」による湯量の減少や温度の低下で、自然湧出からポンプアップ方式に汲上方式を変更した。

 温泉を通し、住民らが交流を深め、アメニティーライフに貢献しているという点で、この温泉は優れて現代的意義がある。また、湯源が無限にあるものではなく大事に利用しようと住民が意識している点は重視すべきである。しかし、「ムラ興し」のための地区所有財産(旧慣温泉)の現代的利用が、今後住民の高齢化や過疎化に伴って衰退して行くことも十分に考えられる。旧来からの伝統的財産(資源)につき外部者を対象に湯治や観光目的に拡大して行くことも十分に意義の有ることであろう。と同時に、資源枯渇や自然災害に対し自然保護法制との関係から捉え直すことが必要である。

2012年1月例会 - 2012.1.14 鹿児島市中央公民館

牧洋一郎「牧園町横瀬の共同浴場」
高重義好「種子島の鬼子母神をめぐる問題」

鹿児島民具学会の歩みと活動 < 2011年度


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