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例会研究発表要旨

2013年度鹿児島民具学会例会

■民間療法について

徳留秋輝

 県下の民俗調査の際に知り得た民間療法を紹介したい。

1.シーボルトミミズ

このミミズを四国ではカンタロウという。鹿児島県垂水地方でもカンタロウと呼び、「このミミズが出てくると雨が降る」と言われた。最近このミミズを見掛けないという。伊集院地方では、アオミミズやヤマミミズと呼ばれた。伊集院町では解熱剤や眼病に、湧水町では肝臓病に、処方としては土瓶で煎じて服用した。川内地方ではドバミミズと呼ばれた。東市来地方では、青ミミズと呼び、このミミズに小便を掛けると眠が潰れるという禁忌があた。しかし、東市来でも最近では、個体数が減少してきているという。

2.雉の足

伊集院町では、ヒエ抜き(化膿して痛み・発熱・悪寒を伴う症状)の治療に使った。雉の足を黒焼きして鱗の部分を削り、粉末にし飯粒と一緒に混ぜ合わせ、患部に付着した。膿をい出し、腫れが減り、全快した。

3.スイカズラ(忍冬)

古い時代は、ショケ、バラや箕はスイカズラで結んでいた。方言ではヘット葛という。この葛は水に弱い欠点がある為に、水を扱うショケ・バラは合成繊維で、箕だけは、従来通りはスイカズラで結んでいる。最近は、この葛を鼠がかじるという。鼠も進化していると思われる。命に関わる病の時は、これらの民具の葛を解いて煎じて服用した。解毒作用や強壮剤になるという。

4.烏貝

吹上町では湖沼に生息する烏貝の内部に生ずる真珠を解熱剤や鏡痛剤として服用した。

 ほとんどの薬剤が植物に由来するといわれる。しかし、真珠、雉の足の鱗や、ミミズにも薬効ある成分が含まれている。

2013年9月例会 - 2013.9.7 鹿児島県歴史資料センター黎明館

徳留秋輝「民間療法について」

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