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例会研究発表要旨

2013年度鹿児島民具学会例会

■一白・二赤・三斑・四黒の民俗・考古学的研究

橋口尚武

 6歳(1943年)のこと、留守した間に愛犬の赤犬が近所の方に食われたらしい。赤犬の皮は戸板に張り付けてあり、半ベソで帰宅した。両親に報国すると、標題のように犬肉の旨さの順を教えてくれた。びっくりするやら、悔しいやらであった。

 以来、この件が気に掛かかっていた。最近になって『犬の日本史』に触発され、以前からの資料とともに改めて取り組むことにした。

 縄文時代には狩猟の友として大事に埋葬され、弥生時代になって犬食が始まることも判明し、また、女性とも大いに関係し、縄文後期には犬と経産婦の埋葬例もある。平安時代には子供に額に「犬」と記され、現在でも2、3地方に残っている。

 日本本来の犬は中型犬で、中世から江戸時代初期の川中島の草戸千軒遺跡では、圧倒的に犬食が行われていた。鎌倉末期から犬追物が武士まに習慣なり、終わって食べられた。江戸時代に大型犬と玩具犬が輸入され、17世紀には玩具犬が一般に及した。もともと犬は放し飼いであり、山犬も横行し犬食に困ることはなかった。さらに18世紀には徳川吉宗がチンを可愛がり、やがて大奥にまで進出した。いつの時代も人の犬の歴史は切り離しできになかった。

2013年7月例会 - 2013.7.6 鹿児島市役所みなみ大通り別館

橋口尚武「一白・二赤・三斑・四黒の民俗・考古学的研究」

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