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池田湖に棲むといわれる、謎の水棲巨大生物に“イッシー”という、
ニックネームがつけられ、かれこれ20数年になる。

そもそもことの発端は、昭和53年9月23日に遡る。
この日の午後6時ごろ、池田湖湖畔に住む、川路豊さん(37)方では、
多数の親族が集まり、法事が行われていた。
そこへ、戸外で遊んでいた長男の洋人君(10)はじめ親戚の子供達数人が
駆け込んできて、「怪獣だ!池の主が出た!」と青ざめた顔で叫んだ。
ただならぬ様子に驚いた川路さん他幾人もの大人たちが外に飛び出し、
目にしたものは、沖合い300m付近を高速で移動する約5mほどの
山型をした黒い二つのコブだった。コブとコブの間隔も5mほどあり、
その周りの水面は広い範囲にわたりざわめきたっていた。
やがてそのコブは水中に沈んでしまったが、川路さんが波打ち際に
駆け寄って目を凝らしていると、再び現れたコブは十数秒ほど
姿を見せた後、ゆっくりと湖に消えていった。

以上が記念すべき幕開けである。勿論それまでも池田湖の主を見た話は
あるにはあったが、ほとんどが単独目撃のため信用されない事から、
世間に語られる事は少なかったのである。しかし、川路さんの目撃談が
きっかけとなって、新聞社やテレビの取材が頻繁になり、
いつしか“ネッシー”にちなんで“イッシー”と命名されるに至った。
余談だが、私はこの“イッシー”という名が、あまり好きではない。
このての生物はどうして「○ッシー」なのか?
クッシー、トッシー、ハッシー、etc・・・と、挙げればきりが無い。
それに比べてツチノコは、名前にオリジナリティがあってよい。
タキタロウ、ヒバゴン等も日本が世界に誇れる好例であろう。
そこで我が鹿児島もそれらのこうれいに倣い、オリジナリティのある名を
つけようという動きがもちあがり、誰言うとなく「イケドン」と命名したまでは
よかったのだが、残念ながらいまだに広まらず終いだ。
そもそも鹿児島では、西郷どん、やごろうどん、など、尊敬の意味を込めて
「ドン」をつける風潮がある。それ故、「イケドン」じつに鹿児島らしいし、
あの「ラドン」を彷彿とさせるようで、たいへん良い名だと思っていたのだが・・・。
次回、イッシー目撃の歴史を大まかに辿ってみたい。

 


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