農業事始め-新規就農を考えている方に-

自分の経験

農業を始めた理由・動機

動機は1つ。単に面白そうだったから。農業を意識しだしたのは高校生の頃からで、牧場ののんびりした雰囲気にあこがれてといった感じでした。
それで大学では農学部畜産学科で牛の勉強をしたんですが、途中で鶏に興味を持つようになって結局最後は鶏を使った研究になってしまった。
大学を卒業したら農業を始めようということはきめていたんですが、そのころの農業のイメージとしては鶏を飼って色々な農作物を作るといった感じでした。
農業が面白そうということとは別に田舎暮らしが面白そうという部分もかなりあったと思います。

就農までの主な経歴

私も妻も福岡出身です。2人とも同じ高校、大学で、大学卒業後私は大学院までいって妻は銀行で働いてました。
大学院を卒業した後就農するつもりで鹿児島加世田に引っ越したんですが、とりあえず地域に慣れるため農協で嘱託職員として半年間勤務。
その時結婚しました。嘱託職員を辞めた後約半年間農協の育苗センターで就農に向けて研修。
研修内容は主に白ねぎの育苗。
(自分が植え付ける分も含めて。この時はすでに白ねぎとらっきょうを栽培することは決定していた。)研修終了後就農。

就農先を探す

これが第一の難関。実家が農家だったら話は早いんですが。
私が就農に向けて活動を始めた頃は、田舎暮らしをしてみたいという人達が増えてきている頃でした。
でちょうどいいタイミングで田舎暮らしをしている人達の話を聞ける会が開催されたので
その会に二人揃ってでかけ色々とおもしろい話を聞いてきました。かなり刺激を受けた覚えがあるんですけど、
その会の主催者が”田舎暮らし大募集”という本をだしたので、すぐ購入しました。
そしたらその本に新規参入者を受け入れる自治体を紹介するコーナーがあって、その中から就農先を探してみることにしました。
就農先を決定する際自分が決めていた条件は1.場所は九州(暖かいところのほうが過ごしやすいから。ちなみにその本は九州版でした。)
2.支援策が充実している所(支援策があった方が安心だし、何よりその自治体が新規就農受け入れに力を入れている証拠だから。)
3.作物を限定してない所(自分のしたいことが出来る可能性が低くなるから。)と大まかにはこんな感じでした。
これらを踏まえて検討した結果、鹿児島の加世田市がぴったりですぐに連絡を取り、あとはとんとん拍子で移住先が決定しました。
今はそれぞれの地域で新規就農者の受け入れ態勢が整っているみたいですが、就農先を決定することは最も重要なことの一つだと思うんで、
本当はもっといろんな情報を仕入れて実際にいろいろ見て回ってじっくり吟味するのがいいんですけど。
1つの作物をたくさんつくって出荷したいなら大産地を見て回ったりとか、
消費者に直接販売したいならなるべく大都市に近く、そういう販売ルートが確立してるところを見て回るといった感じで。
じっくり選んで候補が決まればあとは行動あるのみです。

加世田市の支援制度-ファームサラリー-

加世田市を就農先として選んだ最も大きな理由はファームサラリーがあったからです。
その内容は以下の通りです。
支援の内容

支援名称

地域拠点農業人材養成

サポート事業

農村農業人材育成確保事業
@研修・就農時の生活資金等に対する支援

(ファームサラリーの支給)

◎JAの臨時職員として任用(最高3年)

◎ファームサラリーを月15万円支給

◎単身・夫婦同額

◎ファームサラリーを就農後(自立後)1年間支給

◎夫婦の場合:月額20万円

◎単身の場合:月額15万円
*内8万円は受入れ農家が払うので新規で参入した場合は後で返済しないといけません。

A技術習得に対する支援 [基礎的農業技術]
JAの直営農場や育苗センター,受入農家等で最高36月研修が可能。

基礎的なもの,専門的なものを問わず,受入農家でJA等の技術支援を受けながら自立していく。
B農地等に対する支援 農業委員会やJA(農地保有合理化法人)等で農地のあっせん及び支援を行う。
C住居等に対する支援 事前の申し出に基づき,あっせんを行う。
D農業機械・施設等の整備に対する支援 リース方式による補助事業等を導入し,整備に伴う初度経費の軽減及び支援を行う。
Eその他 「飛躍翔塾(ひゃくしょうじゅく)」を開催し,簿記記帳指導などの支援を行う。
支援対象者の条件 加世田市内に居住するもの
おおむね45才以下の者
加世田市の振興作目を耕作するものが望ましい。
受入時期及び受入人数 受入時期:随時
受入人数:年間3〜4人
受入(研修)可能な作物 茶,たばこ,白ねぎ,らっきょう,かぼちゃ,メロン,
ピーマン,みかん,肉用牛,養豚,採卵鶏

栽培作物

この組み合わせなら充分やっていけるということで白ねぎとらっきょうを選びました。
もともとねぎなどユリ科のものは大好きだったので、好きなものを作るのは絶対楽しいだろうと思って決めました。
加世田市は砂丘らっきょうが有名で、実際有利に販売できる作物なので選んで正解でした。

就農1年目

就農一年目は、白ねぎ60aらっきょう20a。
台風のため白ねぎ畑が水に浸かったんですが、なんとか人並みの収量を上げる事が出来ました。
白ねぎは約12900キロ、らっきょうは約3500キロ出荷。
機械等いろいろ投資したけど販売価格もまあまあ高値だったので、年間トータルでどうにか利益を確保できました。

就農2年目

白ねぎ70aらっきょう35a。
この年も台風のため白ねぎ畑、らっきょう畑ともに水に浸かる。
らっきょうは芽が出る前に砂にうまってしまったので、全部ほりかえしなんとかだいじょうぶでした。
白ねぎは約14700キロ、らっきょうは約6300キロ出荷。
この年は白ねぎの価格が高騰。

就農3年目

白ねぎ70aらっきょう30a。
前年度らっきょうを収穫しすぎて種として残す分が少なくなって、面積減少。
白ねぎは約14700キロ、らっきょうは約3300キロ出荷。
白ねぎの価格が前年の半分で、らっきょうの収量も約半分。赤字でした。

就農4年目

白ねぎ100aらっきょう45a。
前年赤字だったので面積を拡大。しかし白ねぎは2人でこなすにはちょっと無理があったみたいで
全部取りきれず、しかも管理不足からか収量も上がりませんでした。
白ねぎは約16000キロ、らっきょうは約6200キロ出荷。
白ねぎの価格はさらに低迷。しかしらっきょうは高値で推移しうまくカバーしてくれました。

就農5年目

白ねぎ65aらっきょう50a。白ねぎは80a植え付ける予定が苗不足でした。
らっきょうは価格が安定してるので面積拡大。

就農する際クリアしないといけない課題を考える
自分が経験して思ったことや感じたこと

私の場合は行政の新規就農支援制度を利用しての就農だったので、
そういった制度を利用せずに就農したい人とは考え方などが違うかもしれません。
このことを踏まえて次の課題を考えます。

農地 住宅 お金 地域 農業機械 栽培技術

農地

農地は農業委員を通して借りることが出来ます。 ほかの地域は分かりませんが借地料もそんなに高いものではないです。 農村地域では、高齢化や後継者不足から、荒廃した農地が増えています。今後もどんどん増えていくことでしょう。 何年か作っていると”ここも作ってくれ”といったことも多々あります。 けど、雑草を生やすといろいろ言われると思います。 田舎ではそういったことはすぐに広まってしまいます。     
農地はたとえ隣同士でも条件が違ってきます。目的としている作物に適しているかどうか は実際に周りで作物を作っている人にいろいろと聞いてアドバイスをもらうのがいいと思います。 水のはけ具合や日当たり等色々と検討して決定してください。

住宅

私は住宅の確保に苦労しました。農地に隣接した場所に住宅が確保できれば言う事はないです。 最初は、畑を決めてからその近くの集落に住宅を探したのですが結局見つかりませんでした。 主に市役所の人に探してもらったのですが、空家はあってもなかなか貸してもらえません。 古い家は空家になっていても、物置に使っているとか、普段は空家でもお盆や正月に親類・兄弟などで集まれる場所がほしいとか、いろいろな理由があります。 結局農協の人に紹介してもらって比較的新しい一軒家を借してもらうことが出来ました。 山の中腹にあって、とても静かでいいところなのですが、畑からは8`離れていたので収穫時期は大変でした。 それと収穫後作業しなくてはいけないので出来れば大きな小屋つきの住宅がいいです。 私が借りた家には作業できる小屋がなかったので、歩いて3分のところにパイプハウスを建てて作業場としました。 パイプハウスは台風の時ビニールをはがしたり、中の機械類がぬれないようにしたりと何かと大変です。
現在は畑も家の近くに集めてかなり便利になりました。

お金

お金は少しでも多く持っていた方が安心です。 各種の機械類や農機具類をそろえるために、かなりの予算が必要です。 その他生活費、家賃、土地代、燃料費、種子代、肥料代、農薬代等々最初は出て行く一方です。 施設栽培ならば、さらに出費は増えます。 中島農園では農業近代化資金という低金利の資金を借りて始めたんですが、今は無利子の資金もあります。 (年齢制限があります。)借金なので当然、就農計画がしっかりしてないといけません。 また地元に保証人が必要な時もあるので誰も知り合いがいないところでは無理なときもあります。 各自治体ごとに対応はまちまちですが、使える制度は積極的に利用したほうがいいと思います。
農作物を販売するまで収入はゼロなので、そういう点では加世田のように1年目は給料支給といった制度はとてもありがたいです。 そうは言っても農業は天候や自然災害の影響を考える必要があり、技術もおぼつかない新規就農者ですから、 無事に農産物が収穫できるとも限りませんし、販売代金が高いとも限りません。 そう考えると、最初に用意するお金は少しでも多いほうが良いです。

地域

私が一番苦労したのは言葉です。鹿児島弁は早口でほんと分かりにくいです。 今でこそなんとかまともに会話も出来るようになりましたが、最初は意思疎通が全くできませんでした。 言葉は重要です。
私が今住んでいる家に入る時は、その集落の月1回の集会で紹介してもらって、あいさつの品をみんなにくばりました。 また年2回草払いが行われ、これには必ず参加してます。 あいさつを欠かさず、一生懸命頑張っていれば地域にはとけこめると思います。

農業機械

中島農園では白ねぎとらっきょうが主な栽培品目ですが、そのためにそろえた機械類とその値段をあげてみます。 4WD軽トラ 70万、管理機 20万、トラクター(2台目)165万、動噴 20万、草払い機 2万、ポンプ 3〜6万、スプリンクラー一式 20万、ねぎの皮むき機 70万、結束機 20万、らっきょう乾燥機 20万。 1台目のトラクター、軽トラ、草払い機以外は資金や補助事業で揃えました。 1台目のトラクターは中古で25万円だったのですが、3年で壊れてしまいました。

栽培技術

正直、白ねぎとらっきょうの栽培技術は高くないです。 収穫皆無になるような致命的な病害虫もないし、味が良くないと話にならないといった作物でもないし、 葉そのものを育てる作物だから新規就農者には取り組みやすい作物でした。 もちろんこだわっていいものを揃えて取るのは非常に難しくなり、技術も高くなります。 実際栽培に入る前にその地域の栽培基準に目を通すことはもちろん、基本的な生理生態は自分で勉強しておかないといけませんし、 いろいろ雑誌や本などを読んで栽培に関して幅広く勉強しておかないといけないと思います。 技術的なこと農業機械の使い方等わからない事があったら、実際に栽培している人に聞くのが1番いいと思います。 また病害虫は普及センターに聞くのもいいと思います。 もちろん実際に栽培してみるのが1番勉強になり、自分で色々と工夫しなければいけないと思います。

以上自分の体験から感じたこと等を書いたんですけど、 実際に就農してみると問題点やこれからの農業のことさらに自分のやりたいことなどがいろいろと見えてきます。

質問など聞きたいことがあればメールを下さい。

加世田市武田11359
中島晃樹


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