LESSON11  坂元先生来校

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LESSON10授業記録

 情報化の時代です。全国各地で一般の人を対象とした「IT講座」が開かれています。学校のパソコンも6月にインターネットに接続され,子どもたちもインターネットやメールを楽しんでいます。
私もこの波に乗り遅れまいと,最近パソコンを買い換え,インターネット並びにメールに勤しんでおります。メールの世界には,「メーリングリスト」というのがあるのをご存じでしょうか。普通のメールが1対1の送受信なのに対し,メーリングリストでは,1人の発信したメールがリストに加入している全てのメンバーに同時に送られる仕組みです。以前お話ししたことがあると思いますが,私が今子どもたちに行っている英語の授業は,「MAT(マット)方式」と呼ばれている方法を元に作られています。東京の国際児童英語教育研究所(略称IIEEC)の責任者「仲田利津子(なかたりつこ)」先生が長年の児童英語の研究から生み出された方法です。IIEECのホームページを見ていくと,IIEECのメーリングリストがあり,さっそく加入しました。IIEECの会員には,全国で英語塾を開いている方が多く,毎日のように送られてくるメールを読みながら,英語塾の状況も分かってきました。最初は,送られてくるメールを読むだけだったのですが,ある時,ある小学校の先生のメールを目にしました。そのメールの中に「他の小学校の英語教育の現状を教えて下さい。」という一文を見つけました。そこで,思い切って返事のメールを書いたのです。その中で,今川畑小学校で行っている英語の授業を簡単に紹介しました。先程も述べたように,メーリングリストに送ったメールは,加入者全員に送られます。私が書いたメールは,私が返事を書いた相手以外の方も見ているわけで,様々な方から返事をいただきました。その中のお一人に,坂元先生がいらっしゃたのです。坂元先生は,宮崎県で英語の塾を経営されている方です。MAT方式の授業を15年以上続けていらっしゃいます。先生はメールの中で「私塾を経営している者として,小学校での英語授業に大変興味があります。そこで,先生(松崎)の授業をぜひ見せていただけないでしょうか。」とおっしゃいました。私は,すぐに「是非お願いします。」と返事を出しました。その後何度かメールのやりとりがあり,6月25日(火)に来ていただくことになったのです。実は,坂元先生とは,その日まで一回もお会いしたことがありませんでしたので,顔もお互い知らなず、初めて声を聞いたのも,お会いする前日でした。
 4時間目56年生の授業の始まりが11時30分(この日は学校の都合で40分授業でした)でした。
授業開始の前に坂元先生から「渋滞のため少し送れます」と連絡がありました。56年生の授業への参加は無理だろうと思っていたのですが,約15分送れて坂元先生はいらっしゃいました。子どもたちへ紹介しました。坂元先生は英語と日本語で自己紹介されました。その後は,私の授業を見ながら,時折メモを取られていました。授業内容は次の通りです。
 全員をいつものように座らせ,
(腕をぐるぐる回す)WHAT’S THIS?(子どもたち”EVERYDAY”)意味は?
(「毎日○○する」)PLEASE SAY”I ○○ EVERYDAY.READY GO 

子どもたちに動詞カードを見せながら一通り発音させました。そして,毎日何をしますか(WHAT
DO YOU DO EVERYDAY?)と”I ○○ EVERYDAY.”の組み合わせの会話を2人組でさせました。
 
HOW DO YOU SAY「毎日お風呂に入りますか」IN ENGLISH?(DO YOU TAKE  A BATH EVERYDAY?)そうですね。 

カードを使って練習です。「MY」の入った3つの単語は「YOUR」に変えて質問することを確認しました。子どもたちは,スムーズに言えていました。次に子どもたちを8人ずつの3組に分け,それぞれの組を2れつに並ばせました。そして,”DO YOU ○○ EVERYDAY?””YES,I DO.”または  ”NO,I DON’T.”の会話を競争しました。
 子どもたちを集め,TELLに入りました。その後,再び先ほどの3チームに分け,各チームに
トランプ大のカードを配りました。動詞カードを縮小して画用紙に印刷したものです。1人1枚採るように言いました。
他の人にカードを見せてはいけません。最初他の人がどんなカードを持っているか尋ねます。
何と言いますか。(”WHAT DO YOU DO EVERYDAY?”)ですね。聞かれたら”I ○○ EVERYDAY.”と答えて,カードを相手に見せます。READY GO 

1分後,再び子どもたちを集め,
今度は相手が持っているカードを予測して”DO YOU ○○ EVERYDAY?”と聞きます。
あっていたら”YES,I DO.”違っていたら?”NO,I DON’T.”と答えます。相手にYESと言わせたら,GET 1 POINTです。READY GO 

ゲームが終わると子どもたちをテーブル席に着かせました。A〜Zまでのアルファベットがかいてあるプリントを見るように言いました。
先生がいうアルファベットを指さしなさい。A,B,C,・・・Z。次は,A〜Fのアルファベットを順番バラバラで言います。指さします。A,C,D,E,F,C・・・・。 

残りのアルファベットも7〜8この組に分け,同様にしました。
LOOK AT THIS CHART.(アルファベットが書いてあるポスターに注目させる)アルファベットは色分けされていますね。WHAT COLOR IS IT?(”IT’S RED.”)これからアルファベットの発音をします。でも赤いアルファベットは発音しません。その代わり,拍手をします。 

とびとびで発音させることで,アルファベット発音の定着を図ったわけです。
 ここで時間となりました。授業の後,坂元先生と一緒に給食をとりながら反省をしました。様々な問題点を指摘されましたが,その中で一番問題だったのは,「一つ一つの活動に関する説明が長く,子どもたちの集中がとぎれてしまう。」ということでした。5時間目の34年生の授業に向けて,いろいろ改善点を話しているうちに,「私が少しやってみましょうか。」と坂元先生がおっしゃいました。私は
喜んで「是非是非お願いします。」と言い,さっそく2人の分担を話し合いました。最初は,私が主で,坂元先生には一部分だけお願いするという感じで授業プランを作り始めたのですが,最終的には,私が担当するのがほんの一部になりました。
 5時間目になり,最初坂元先生にあいさつしていただき,さっそく授業に入りました。先生はまず子どもたちを円の隊形に並べ替えました。私は横3列に並べているのですが,円のほうが,子どもたち1人1人によく目が届くのだそうです。はじめは動詞です。すごい勢いで今まで学習した16の動詞を次々に復習していきました。坂元先生の指示は,リズムがあり,無駄な間がほとんどありません。子どもたちは,ずっと集中して活動しています。速い指示にも関わらず,子どもたちは大変楽しそうです。
動詞の復習の後,CAN→WHAT CAN YOU DO?→2人組の会話,EVERYDAY→
WHAT DO YOU DO EVERYDAY?→2人組の会話。と進めていきました。今まで学習してきたことをほとんど復習したのに,それまでにかかった時間がたった8分。私ならゆうに20分はかかっているでしょう。復習だけではなく,2つの新しい動詞と,「〜するのが好き」(LIKE TO ○○)の導入のおまけ付き。これで10分です。
 この後私がバトンタッチし,出席(子どもたちも楽しいのか,いつもより元気よく”I’M HERE.”と言っています。),好きなテレビ番組は?(”WHAT’S YOUR FAVORITE TV PROGRAM?”)の復習が終わりました。
 次に坂元先生は,子どもたちを2組に分けました。リレーゲームです。名前は何?とどこに住んでいるの?をリレーゲームにしました。いつも私は子どもたちを3組に分けています。その方が短い時間の中で多くの子に話す機会を与えられると考えているからです。「なぜ,2組なのかな」という疑問は授業の後解決しました。先生は,子どもたちがゲームしているとき,2つの列の間に立ち,話をしている子どもの横に立ちながら,リレーが進むに連れ,少しずつ後ろに移動していました。このとき,先生は子ども1人1人の発話を聞いていらっしゃったのです。「言えない子には,その場で教えて上げればいい」とおっしゃいました。「次は言えるようになりますよ」ということです。2列の理由も分かりました。3列以上だと全員一度にチェックできないのです。子どもたちにとってはゲームでも,指導者にとっては個別指導のチャンスだということなのです。指導の奥深さを知りました。
 この後,ロールプレイをしましたが,スタートの合図に先生は,映画の撮影のときよく見られる
ガチンコを使われました。これだけでも子どもたちの乗りが違います。後で尋ねると,先生の手作りだということでした。このようなちょっとした小道具も授業演出には大切なのです。
 名詞の復習をし,WHAT’S THIS?,IT’S A ○○.の復習の後,子どもたちを再び2列に並べました。すると,今度はかわいいはえ叩きの登場です。こどもたちは大喜びです。黒板の前に名詞のカードを並べ,各列の先頭の子どもにはえ叩きを持たせました。全員に”WHAT’S THIS?”を言わせ,”IT’S A ○○.”と先生が答えたカードにはえ叩きを持った子どもが突進します。速く先生が言ったカードをたたいたチームが1ポイントゲットできるというゲームです。このゲームでも子どもたちは大興奮。あっという間に時間が過ぎてしまいました。授業が終わっても子どもたちはなかなか学級へ帰ろうとしませんでした。数名が「来週もいらっしゃるのですか。」と質問していました。
 授業後も英語教育についての話をたくさんすることができました。先生が帰られたのは6時でした。
私にとって,この日は大変有意義なものになりました。私も坂元先生のような指導力を速く身につけるように努力したいと思います。