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〔もくじ〕
   男は3束、女は2束租稲人にかける税だということがわかる
   『天平十二年遠江国浜名郡輸租帳』を読む 
New  4. 29.
   ついでにこんなことも考えた
    Oil-go-round 回る2ます計算 New  5.  7.
    
続編 回る2ます計算と洗濯板あやとり New  5. 15.
       
続々編 進め! 2ます計算  New  5. 23.

http://www.yomiuriland.co.jp/attraction/ferris_wheel.html

〔要旨〕 この輸祖帳を見ると、口分田は、男1人に2段、女1人に1段120歩が班給されており、1段の租稲1束5把。1町の租稲15束が収められているので、租稲は耕地(田)にかかる税だと思うのは当然のことです。なにしろ、令前の租法は「町租稲15束」を命じているくらいですから。また、大宝田令の第3条は「給口分田者男2段(女減3分之1)」とするように命じています。
 一方、一人当りにして男が3束、女は2束の租稲を納めているという実情は、「田1町租稲15束」という租法と、「男2段(女減3分之1)」という口分田の班給基準とが、6年おきにおこなわれる班田収授において、合い成した結果であると見られます。
 そうすると、租稲は(一人当りにして)人にかける税だと言うのは、たしかに本末を転倒した無理な考えかもしれません。
 それでもなお、租稲人にかける税という性格は、耕地(田)にかかる税という性格を押さえて、いつでも優位にあるという。その根拠として決定的だと思うのは、男3束:女2束という比率に基づいて、口分田は「女減3分之1」と定めたとすると、最も合理的な説明になることです。これは、長い鎖の最後の環が、最初の環とじかに結びついているようなものです。
 つまり、ひとつの循環的な因果のしくみを考えると、それは、一連の経過の最終(結果)のものになっているけれども、その自由な片縁は、隣の最初(原因)のものに、じかに結びついて、ひとつの因果の伝達をおこなわねばならない。(そうでなければ、この因果のしくみは循環的なものとはいえなくなる。) ただし、このとき、両者の立場が逆転していることに注目してください。最終のものは(最初のものの)原因をなしており、最初のものは(最終のものの)結果をなしています。
 租稲は耕地(田)にかかる税だと思う人にとって、これは、普段の因果関係の1綴りが終わり次の1綴りが始まるというちょっと特異な時点に過ぎず、大晦日に除夜の鐘を心静かに聴くようなことで済みますが、租稲は人にかける税だという私は、真の因果関係がこの短時間の内に確保されていることは非常に有難いと思います。
 しかし、この輸祖帳を読む限りにおいては、事態はそれほど悲観的でもなさそうです。数多くの口分田が荒廃していた。台風に遭い実入が損なわれた。各戸に対して租稲の減免がおこなわれた。そういう経過の中で、男1人租稲3束を納め、口分田2段から租稲3束を収めることは、どちらを主とすることもなく重複しておこなうべきものになる。心ある人は、しだいに人にかける税という性格を強く感じるようになると思います。

因果はめぐる風車

 租法を含む班田収授のシステムを、(ひとつの構造体の固まりとして見るのでなく)、
 ひとつのことを繰り返して生き続ける「しくみ」として見る。

 本文(『天平十二年遠江国浜名郡輸租帳』を読む)への案内文は以上で終わりました。「ついでにこんなことも考えた」というのは、こういう「繰り返すしくみ」の基本構造を解明する「循環系数理モデル」みたいなものを思いついたという気楽な話です。
 話題にしたのは、『塵劫記』に記されているつぎの〔問題〕です。

▲1斗の油を、3升ますと7升ますを使って、5升づつに分けるにはどうしたらよいか。

 考えてみると、この〔問題〕では、課題が一部限定的に与えられているので、〔答え〕もまた一部限定的なものになっていますが、私は、課題の範囲をぐっと押し広げて、もっと手広い〔答え〕の中から答えようとします。

10 0 0
7 3 0
7 0 3
4 3 3
4 0 6
1 3 6
1 2 7
8 2 0
8 0 2
5 3 2
5 0 5
2 3 5
2 1 7
9 1 0
9 0 1
6 3 1
6 0 4
3 3 4
3 0 7
10 0 0

 油を元の桶から3升ますへ、満たした3升ますから7升ますへ、満たした7升ますから元の桶へ、
 合せて10回の操作を経たのち、油はうまく5升づつに分けられているので、あとはこの油を客2人に売り渡せばよい。ところが、偏屈者の油売りが、油を売り惜しんで、同順の手続きを進めたとしたら、あと10回(実際には9回)の操作を経て、油1斗のすべてが元の桶におさまりかえります。まるで何ごとも無かったかのようです。
 それで、〔問題〕の小造りな全体像をこうして見通した上で、半分を切り取って〔答え〕とするのがベターであり、原題の〔答え〕もそういうものとして理解すべきだというわけです。ひとつの循環的な因果のしくみ、「繰り返すしくみ」の基本構造を解明する「循環系数理モデル」を思いついたというのは、実はこのことです。

 だいたいこういう趣旨のことをここに書いていたのですが、〔あぶら算(油分け算)〕そのものを研究するために別のページを作りました。(Oil-go-round 回る2ます計算
 油が回るので、"Oil-go-round"ですが、しくみは「観覧車(Ferris wheel)」にたとえるのが都合がよいみたいなので、そうしています。

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