分数と水汲み(水はこび) 2005.8.22.記 あゆみ(歩)
今はどこにでも水道の蛇口があるという便利な生活になったので、水を汲む問題というのは古臭いかもしれませんが、
バケツで水を汲んで水槽に注ぎます。「1ぱい、2はい、3はい、.....」と数えながら、水槽が満水になるまで、汲み続けます。
.左側のバケツで汲んだときには、満水にするまで、60回かかった。
(水槽には60杯ぶんの水がはいった。)右側のバケツで汲んだときには、満水にするまで、40回かかった。
(水槽には40杯ぶんの水がはいった。).〔問題〕
では、左右いっしょに水を注ぐとしたら、満水にするまで、何回かかるでしょうか。
〔答え〕
水槽の(満水した)水量を1として、左右のバケツの1杯ぶんの水量は分数であらわされます。左側のバケツの水量は、1/60 。 右側のバケツの水量は、1/40 。
ここで、左右を合せた水量を求めます。
(1/60)+(1/40)=(2/120)+(3/120)
=(5/120)=(1/24)
左右合せてひとつにしたバケツの水量は、1/24 です。これに対して水槽の満水量は1ですから、バケツの水を24回注いだとき水槽は満水になる。
生活の中での水汲みの経験は、分数計算の基本的なしくみの理解を助け、こうした割合の問題を堅実にこなしてゆく素養になっている。そういうことの実例として、ひとつの問題を考えてみましたが、実をいうと上の問題文は、つぎの問題文を土台にして、私が作り変えたものです。
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=1527173
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2つの給水管A,Bのついた水槽があり、
Aだけだと40分、
Bだけだと1時間で水槽は満水になる。
AB両方使うと何分で満水になるか。これは水道が普及した今時の問題スタイルですが、つぎの答案を見たとき、すぐには意味を理解できず、しばらく考えてしまいました。
逆数にして足し算すれば求められます。(1/40)+(1/60)=(1/x)
何分で満水になるかと問われているので、通常の解きかたは、
(x/40)+(x/60)=1
になるのではないかと思います。
下の式全体を x で割ると、上の式が導かれるという関係ですが、
上の答案にはこれとはやや異なる発想があるようです。それで、上の答案の式を文章にしてみます。(1) AもBも、それぞれ、満水量1を所要時間(分の数)で割ると、その結果は1分当りの流水量に等しい。
(2) AB両方使う場合も、満水量1を所要時間(分の数)で割ると、その結果は(AとBを合せた)1分当りの流水量に等しい。ここまで考えて、なるほどと納得したわけですが、
この解きかたの底には「1分当りの流水量」というアイデアがあると思います。そこで、ある1分間に流入する水を見てみたいと思っても、水が流れっ放しになっている状況では、そのぶんの水を分けて見ることは難しいので、そのかわりに、「1分当りの給水能力」というような観念物の実在を、理解するとか、理解させるとかいうはなしになると思われます。
もっとも、さらに要領のよい人は、「こういう時間の合せかたはこうします」というマニュアルみたいにして、この解きかたを鵜呑みにしてしまうかもしれません。
(このマニュアルはあらゆる単調な仕事にあてはまるので便利です。)どちらにしても、肝心の水はどこへやらという空疎な感じがするので、私は、もういちど水汲みに帰って、「バケツ1杯の水」を考えることにしました。
水道が普及すると、分数ができなくなる。
というのは冗談ですが、水が分数をおおいに活用する素材だということはたしかです。ひとつの量が、大きくも小さくも幾つにも分けられ、大きくも小さくも幾つにも集めることが出来るという水は、「分数の申し子」といってもよいでしょう。
もしかすると、人々は、水汲み(水はこび)を通して、分数の真意を自然に教わっていたのかもしれないので、現代の水汲みをしない生活環境において、まっさきに人々の分数能力が危うくなるという心配はすべきかもしれません。