還って来た 取りつくし法の未来(4)

劉徽注九章算術方田章に同居する分数の概念。 

あゆみ(歩)  

還って来た とりつくし法の未来
(1)何等分でも出来る線分と分数の概念 
(2)グレゴリーπ公式と、分数の〔かたち〕
(3)グレゴリーπ公式と、ワイリス望遠鏡
(4)九章算術方田章に同居する分数の概念
(5)
劉徽注九章算術方田(原文と勝手な注釈)
(6)円のふるえを〔分数のかたち〕で測ってみよう
(7)
天才ライプニッツと一反木綿()と分数の概念
(8)球葱と帆立貝とライプニッツの円積率公式
 (9)曲りなりにもパラボラの面積は見ればわかる
(10)方、以類聚物、以群分数。
  目方(めかた) 九章算術に始まる?分数の概念

  乗分術曰く。
   母相乗為
。子相乗為。実如法而一。

.   

子相乗為 ||||,||||,|||| (3*5)
母相乗為
 |||||||,|||||||,|||||||,|||||||,|||||||,|||||||,||||||| (7*5)

〔算盤〕

.
. . . . . .
. . . .
. . . .
. . . . . .
. . . . . .


九章算術の第1章が担当している課題は、

 1 方田 - 主に田畑の(年貢のための)面積計算と分数の計算。(Wikipedia

ですが、前半はを最小の単位とした面積計算というふうに言い換えられます。
 それにしても、第1章の1つ屋根の下に、図形の面積という特殊な課題と、分数という一般的な課題が同居しているのは、すこし奇妙です。
 思うに、図形の長さの単位がもし、丈、尺、分、厘、というふうであれば、はっきり言って小数の計算原理がマッチするので、が分数を頼りにしたことが、面積と分数が同居した要因の1つであると思うのですが、両者を近寄せて離さない強い引力の源はいまだ明らかにされていない。

 このこともあり、第1章の全て36問と、晋の劉徽の注(AC.263)を写してみました。
(5)劉徽注九章算術方田(原文と勝手な注釈)

 いま私には、それが面積の、これが分数のと、問題を別けて見る必要は無い。
 ただ、ここには、広・従歩数相乗歩。という事情があり、
 これには、物之数量不可悉全、必以言之。という事情があるだけです。

 このように分けて言うことが可能な単位を仮に物称単位と呼ぶことにします。
 〔
はそういう単位としては非常に模範的なものであった。

 2つの事情はもとより親密で互助的な関係を取り持つ内に、第19問に至ります。

 今有田。廣7分歩の4・従5分歩の3。問「為田幾何」。

 実にこの問題というのは、
 
横幅が不可悉全で 縦長も不可悉全なる 田んぼを見て、その面積を求める
という問題です。そこで、「とにかく縦横を相互に掛け合わせてみれば」というので、

 4 × 3  12
 ― × ― = ――   
答曰「35分歩の12」。
 7 × 5  35 

 〔数と数を掛け合う乗分術が採用されているわけです。 〔←左〕

こうして、着実な用途を例にして、乗分術という技が紐解かれたのはよいのですが、解説した劉徽には不満に思われることがあった。
此田 有 廣 ・従。 難 以廣諭。
田んぼに縦横があるというイメージに束縛されている内は、もっと広くて限りのない乗分術の可能性を、うまく教え諭すことができない。

不可悉全なる田んぼというイメージはほんとに狭苦しいので困りますが、古い問題文は、算数の下地が悪いわけではなく、体裁が悪いというので、
劉徽先生は、古い衣装を新しい衣装に着せ替えることにしたのか? 新しい問題文の(1)はつぎのような問題です。

 馬20匹、直金12斤。今、売馬20匹、35人分之。
 問人得幾何。答曰35分斤之12

田んぼの廣 ・従が、劉徽先生の呪文によって、姿を変えさせられたのか? 馬や、お金や、人間になっていますが、
金12斤を35人で分けるという、経分術(問17,18)の解説範囲にそっくり納まりそうな課題になっています。

 12 ×   35   12  経分術曰「以人数為法。以銭数為実。実如法而一。有分者通之。」
 ―― ÷ ―― = ――

 20 ×   20   35  
馬20匹、直金12斤。今売馬20匹、35人分之。)

つまり、乗分術も、こうして見れば、経分術と根が同じことがわかるでしょうという。 其為之也。当如経分術

つぎに、新しい問題文の(2)が提示されます。

 馬5匹、直金3斤。今売馬4匹。7人分之。
 問人得幾何。答曰35分斤之12

これがその、乗分術の限りない可能性を求めて、劉徽先生が世に問いかけた問題のように思えます。
しかし、出された問題に答えるのは解答者の権利なので、とりあえず下手な解き方で答えてみます。

 直馬1匹の単価は〔5分斤の3〕。1人は〔7分馬の4〕を売る。
 直馬1匹の単価に1人当りの売馬数を掛けると、人一人が得るお金がわかる。
 すなわち、〔5分斤の3〕×〔7分の4〕=〔35分斤の12〕

これは一見して、乗分術の流れを汲む解き方のようです。
1人当りの売馬数 というのはわかりやすけれども、これを 掛ける というところが納まりが悪い。)

 直馬1匹の単価は〔5分斤の3〕。1人は〔7分馬の4〕を売る。
 直馬1匹の単価を売馬1匹当りの人数で割ると、人一人が得るお金がわかる。
 すなわち、〔5分斤の3〕÷〔4分の7〕=〔35分斤の12〕

こちらは一見して、経分術の流れを汲む解き方のようです。
売馬1匹当りの人数 というのはちょっと無理があるが、 割る というところは至極納まりが良い。)

いずれにせよ、解き方を図解したときには、田圃の面積が35マスの内12マスを占めるという絵柄と同じです。すこしも広いということはない。

まるで、狭い田んぼの面積計算のこつを知っていれば、商売に役立つというような、 
乗分術の限りない可能性を求めて劉徽が考えていたのは、そんなことではなさそうです。

 いま馬5匹がいて、直金3斤がある。 また、売馬4匹がいて、人7人がいる。
 
相共にある数を〔率〕という。
 馬5匹に売り馬4匹を

  〜 (旧ページは)ここでぶち切れて、後続の記述が無くなっていました。 〜

 きれいさっぱりと消えて跡形も無くなった記事内容を、再度書くことによって、回復しないといけません。しかし、大きな流れはわかっていても、一言一句を順序よく覚えているわけではないので、前とそっくり同じ様なページを作ることは断念して、新しい気分でもって、今思うことを新たに書き起こすことにします。そこで、、
 消え去った記述がどういう内容であったか。その要点を順を追って記しておきます。

1、 劉徽新問題に相応に答えるため、広い乗分術による図解(右図)を考案しました。

2、 ユニークな図解をこしらえたのはよいが、図と式の関係が意外に疎いことに気が付く。
   図解の目的たる計算式(右)では、馬20匹のことがなにも言われていない。
   〔馬20匹〕が要らないのなら、余計なことをしているようで、図解の意義が疑わしくなる。

3、 (A)直金3斤を銜えた馬5匹の群れと、(B)売馬4匹を牽き連れた7人の人々が、
     月夜の晩に出会った。
   ......... どちらにしても、とにかく馬20匹になれ。......... 
   (A)直金12斤を銜えた馬20匹になれ。(B)馬20匹を牽き連れた35人になれ。   ......... 金12斤が有り、馬20匹が居て、35人の人々が居る。......... 

4、 ........... とにかく馬20匹に成ってもらおう。そうしないことには、はじまらない。..........
   ...........(A)お金はあとからついてくる。(B)人々もあとからついてくる。..........
   これは絶対にそういう類の比例計算であって、そのための図解なのだから、
   図解の目的たる〔計算式〕に、馬20匹のなりゆきが記されていないのは淋しい。
   あとからでも書き加えておこう。そうしておかないことには図解した意味がない。

   馬5匹()を4倍して、また売馬4匹()を5倍して、
   馬20匹()を目指すところは、無駄とも思えますが........


 〔計算式〕  答えに必要なことだけ記している

 4 × 3  12
 ― × ― = ―― 
答曰「35分斤の12」。
 7 × 5  35 

 

 〔計算式〕 解のプロセスを実直に記さなくてはすまないという

  × 3  12
 ― × ― = ―― 
答曰「35分斤の12」。
 7 ×  35 

 

 消え去った記述の内容を以上のように記録しました。あれこれ考えてジタバタしていますが、しょせん劉徽先生の手のひらの上で踊っていたにすぎません。
 その「手のひら」を開いて見せれば根本の記録になって全てをカバーすると思うので、開いてお見せします。


交互
`



¬

従言L之異而
`計数
`則三術同帰也

¬七人売四匹馬
L

¬
一人売七分馬之四
L

分子
`
與人

完金之
`分而言之
`
¬


一匹

直金五分斤之三
L


L
無事于同


`

求斉而
`



¬馬五匹

直金三斤
L

其金也

母相乗
為法者
`
猶斉其人也

同其母
`
¬為二十

皆合初問
`
入于経分



`
則分子相乗
為実者
`
猶斉

¬三十五分斤之十二
L


其為之也

当斉

其金

人之数
`

五匹

直金三斤

今売馬四匹

七人
分之

人得幾何
L


当如経分

以十二斤金為実

三十五人為法


更言¬


゚人得幾何
L

答曰¬三十五分斤之十二
L


其為之也

者曰¬馬二十匹

直金十二斤

今売馬二十匹

三十五人



相乗而
`
連除也

此田有廣
・従


以廣



`
有問

除者
`

如法而


,
今子相乗
`
則母各当報除






`
則亦満法

乃為全耳

又以
子有所乗

`
母当報除



`

不満法者

`
有母子之名

若有分
l`
以乗其実而
`
乗分術曰¬母相乗

為法

子相乗

為実


如法而

L
又有田


又有田


¬三十五分歩之十二
L
今有田

廣七分歩之四
`
従五分歩之三

¬為田幾何
L


〔いくつか反省点〕

完金之率 仮に「完率術」という算術が存在していたようです。また、新しい問題文の(3)が提示されていたのを見逃していました。

 馬5匹、直金3斤。今売馬4匹。7人分之。
 問「〔完金:完馬:完人之率幾何。答曰金12斤:馬20匹:人々35人

(新しい問題文(3)としましたが、順序としては、新しい問題文(1)に先行しているものとします。)

計数、則三術同帰也 3術とは、完率術経分術乗分術。前2術においては、馬20匹が必ず計上されています。
                 今思えば、3術を融合しているような乗分術を目当てにして、図解をぶつければよかったわけです。

廣諭   広い乗分術狭い乗分術の歴然たる違いは、算盤上でも見ることが出来るのではないか。

広い乗分術

馬5匹、直金3斤。今売馬4匹。7人分之。問「人得幾何」。

  × 3  12
 ― × ― = ―― 
答曰「35分斤の12」。
 7 ×  35


算盤
 

 

.
. . .
. .
. .
. . . . . .
. . . . . .

法人

法の中に居る人々は、読んで字の如く、法人の構成員だといえます。
まったく彼ら35人の一口馬主たちは、法人の持馬20匹を手放して、一法人として金12斤を得ようとしている。 

狭い乗分術

 今有田。廣7分歩の4・従5分歩の3。問「為田幾何」。

4* × 3*  12
――― ――― = ――
 答曰「35分歩の12」。
7* × 5
*  35

 廣7分歩の4〕〔1歩〕に伸ばされたはらいせに(算術は衝動!)
 
従5分歩の3〕〔35分歩の12〕に縮めたという計算です。

図解

  

 (ものさし) 左の壮大な構図をミクロに見つめ直すところ。

 ⇒ 一口馬主個々人を平均して見ると、
 「1馬直金5分斤の3」の馬を、「1人売7分馬之4」にして売り、
 「金35斤分の12」を得る勘定が立つ。

 それにしても、「7分馬之4」という分数は、不自然この上なくて、何度見ても変だと思う。お金に目が眩んで、人々は、生き馬の眼を抜いてしまったのか。

 〔廣7分歩の4〕〔1歩〕に伸ばされたはらいせに〔従5分歩の3〕〔35分歩の12〕に縮めたという計算で、その丁寧な図解です。
 田んぼの流動化という成果をここに見るとすれば、この図式にあてはまるものはすべて、
 お金も流動化されれば、お馬さんも流動化されて、ついには人々さへも流動化されるというのか。


あとがき 2011.6.17.  

Sorry  このページは壊れています。「馬5匹に売り馬4匹を」最後に、これに続く後半の記事が無くなっていました。

 6月13日に気づいてから、記憶を頼りに復元作業をしています。完全になるまで、しばらくお待ちください。

ということがありましたが、応急作業でなんとか体裁が整ったと思うので、早めの復旧宣言をしておきます。
なお、後で気がついたのですが、トップページの「お知らせ 2009.1.18.」に、断絶直後二、三十行の雰囲気は保存されていました。


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