2002.9.1 Y.SAKAKI


 8月30日、31日に私が暮らしている浦上地区で節踊りが開催されました。集落集落で呼び名が違うようで「ムチモレ」、「種下ろし」とかetc... 一般的には「八月踊り」と呼ばれています。30日は台風一過暴雨風の中で強行されました。ずぶ濡れで踊り続けたのでした。翌日はお月様も顔出す上天気で終盤はみんさんはもうトランス状態???凄いパワーです!
 今年、浦上地区壮年団の会計になんと私目がなってしまってもう大変。青年団も経験ないし八月踊りだってろくに踊れないし唄なんかとんでもない。何もかも分からない強さというか・・・これは焼けパッチだな。
 当日は、神聖なる出で立ち?白いズボンに白いシャツ、豆絞りの手拭いを頭にキリリとねじりはちまき。家々で頂いた寄付金を入れる黒い集金カバンを首からぶらさげている。とても格好良いとは言えない。
 私目の仕事は祝いの寄付金をお披露目する係。八月踊り六調で最高に盛り上がったところで出番となる。
「今日の誇らしゃやいちもより勝り!壮年団、婦人会の踊りがあまりにきょらさるがために・・・○○△様より 一金 ○○両××△様より一金○○両 合わせて○○両 頂きました〜〜〜!」と特別な口上を大声で吠え更に更に盛り上げないといけない係なのだ。失敗するとやり直し。もう自分を捨てて吠えまくりましたよ。自分で自分が信じられません。自分で自分を初めて褒めてあげたいで〜す。(マラソンのお姉さん風)
 さ〜てここで、
八月踊りについて解説しましょう。

旧暦八月、新北風(ミーニシ)がさらさらと吹き寄せてくる頃、刈り入れを済ませた人々は、新しい八月着を用意し、山海の幸を揃え太鼓三味線を張り替え、一年の労苦を忘れ喜びあう祭りをした。
 節句は新節(あらせち)、柴挿(しばさし)、ドンガ、の三回に別れていて、アラセチが八月最初の丙(ひのえ)の日に始まり、シバサシがそれから中七日おいて甲(きのえ)の当日、ドンガはシバサシ後の「甲ね」の日に行うことになっている。
 広っぱで月と共に夜を通して踊り明かすこともあるが、「ヤワシ」といって集落の家を一軒残らず、次から次へと二日も三日も掛かって踊り回るのが通例である。八月踊りは、整然たる法則があって奄美大島独特の民族舞踏で、口伝えで伝承されてきた。(分 潮光著 「奄美大島民謡大観」より抜粋転載)

 
ま〜、早い話「今年も豊年豊作・豊漁バンザイ!毎日毎日のお仕事ご苦労さん!たまには夜通し酒でも飲んで踊り明かそうや」若者の場合はついでに 「マジあの娘、俺のタイプだし〜可愛いから今夜こそGETするもんね〜!」てな感じでしょうかねぇ〜?私目が解説すると下品になるな〜。昔の人達も我々と同じなんですね。違ったらゴメンナサイ。





老人クラブの皆様の年期の入った八月踊りは惚れ惚れします

『今の踊り』
今の踊りは 踊りがそろた ソラソラ
踊り習わば今習う ヨイコラセ
ヨイコラセノ ハリャコノ サーサ ヨイコラセ

格好良すぎるんじゃないの爺ちゃん!まさにいぶし銀の渋さです


ドンドンドン♪血が騒ぐチヂンの響き♪踊りの始まり

『おぼこれ』
ハレ おぼこれどやよろ
ハレ かをさらどやよろ
ハーリャーオーセーオーセー
ハレ おぼこらせよりや
ハレ きゃしがおせろ イョンド

 八月踊りは「おぼこり」から始まります。おぼこりは=ありがとう。かをさらどやよろ=こんなにご厄介になりましたの意味。解説「有り難うございました、大変よろこばさせて頂きました。このご恩はどうしてお返ししたらよいでしょうか」てな意味です。


婦人が唄った詩に対して男衆が返しの詩を唄います。「唄遊び」です

綺麗な娘さんも見事に踊り、そして唄を唄います。感激!
きっと昔は、踊りも唄も上手い娘で器量まで良けりゃモテモテだったはず
若い娘はええな〜と思いましたね。ただのオヤジの独り言です

三味線と太鼓が出番を待つ 弾き込まれた三味線の貫禄
強烈なビートを刻むシンプルかつ強力な楽器

六調のお囃子隊 抜群のノリのあるビートだ! 血が騒ぐ!

子供達は太鼓を持ってお手伝い。背中にはリュックを背負っています
おじちゃん達がお菓子を次から次へと詰め込んでいってくれるのがお目当て!
この子達が次世代の後継者になって行く素晴らしいことだ!

オヤジが息子に六調の弾き方を教えていた
確実に文化は引き継がれていく。平井親子
息子は化粧をしています青年団は全員化粧するらしい!

凄いメイクに大喜びの青年団長の且君
不気味というか恐いというか愛嬌がありすぎるというか・・・

踊り連を迎える家庭ではご馳走と祝金を用意して
踊りが来るのを今か今かと待っています

仮装してやって来たご婦人、父ちゃんのステテコに麦藁帽子
背中にはテル(竹かご)、黄色い長靴 奥さん面白すぎ 六調も絶好調

もう夜中の3時だというのに月明かりの下で踊りはまだまだ続きます
夕方6時から唄い踊り酒を酌み交わし・笑い・飛び回り
家にたどり着いたのは朝4時半だった恐るべし八月踊り
・・・・だが恋は生まれなかった・・・

その昔から脈々と受け継がれて来た暮らしにとけ込み生きている伝統
いつまでも途切れることなく受け継がれて行って欲しい

topへ


Enjoy Amamiへ戻る