平成23年度剣道三段以下並びに四・五段審査会
   における学科問題

(剣道初段)
1 剣道を始めた動機を書きなさい。(どんな理由で剣道を始めましたか。)
2 「基本の大切さ」について述べなさい。
3 「稽古で心がけなければならないこと」を列挙しなさい。
4 「三つの間合」を簡単に説明しなさい。
5 「有効打突」について説明しなさい。
6 「掛け声」の効用について列挙しなさい。     

(剣道二・三段)初段の問題を含めた中から出題
7 全日本剣道連盟が制定した「剣道の理念及び剣道修錬の心構え」を書きな
  さい。
8 「切返し」の効果について列挙しなさい。
9 「目付け」について説明しなさい。
10 「打突の機会」を列挙しなさい。
11 「打込み稽古の効果」を列挙しなさい。     

(剣道四・五段)初段・二・三段の問題を含めた中から出題
12 「四戒」について説明しなさい。
13 「掛かり稽古」について説明しなさい。
14 「手の内」について説明しなさい。
15 「審判員の心得」について一般的要件と留意事項を列挙しなさい。
16 「日本剣道形を実施するときの留意点」について述べなさい。
17 「剣道指導の心構え」について述べなさい。     

剣道昇段審査学科問題解答集           
初  段(1〜6)           
二・三段(2〜11)           
四・五段(2〜17)    
 

1 剣道を始めた動機を書きなさい。(どんな理由で剣道を始めましたか。)

2 「基本の大切さ」について述べなさい。
  芸道や各種のスポーツの高度な技術や美的表現は、すべて基本の習熟によ
  って発揮されるものである。
  剣道においても上達する為には基本が重要である。基本をしっかり身につ
  けることにより、技術に無駄がなくなり、効率的で正確な技術が身に付く
  ようになる。     
 

3 「稽古で心がけなければならないこと」を列挙しなさい。
  (1)竹刀の点検、準備運動、整理運動をはじめとした安全面に留意する。
  (2)大きな目標や研究心をもって取り組む。
  (3)礼儀作法を重んじる
  (4)立会いの「初太刀」を大事にして、一本一本をおろそかにしないよう
     に、常に旺盛な気力で、精魂を込めて稽古をする。
  (5)基本に忠実に稽古をする。
  (6)しかけ技を積極的に使って稽古をする。
  (7)稽古後は反省し、工夫・研究を怠らない。     
 

4 「三つの間合」を書きなさい。
  (1)一足一刀の間合 −剣道の基本となる間合で、一歩踏み込めば相手を
              打突できる距離であり、一歩下がれば相手の打突
              をかわすことができる距離である。
  (2)遠い間合(遠間)−相手との距離が一足一刀の間合より遠い間合で、
              相手が打込んで来てもとどかないが、同時に自分
              の打突もとどかない距離である。
  (3)近い間合(近間)−相手との距離が一足一刀の間合より近い間合で、
              自分の打ちが容易にとどくかわりに、相手の打突     
              もとどく距離である。     
 

5 「有効打突」について説明しなさい。
  有効打突は、充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位
  を刃筋正しく打突し、残心あるものとする。(剣道試合・審判規則第12条
  参照)     
 

6 「掛け声」の効用について列挙しなさい。
  (1)自分の気力を充実させる。
  (2)相手を威圧する。
  (3)自分の力を集中して、より以上の勢いと力を発揮させる。
  (4)気剣体の一致をはかり、打突を正確にさせる。     
 

7 全日本剣道連盟が制定した「剣道の理念及び剣道修錬の心構え」を書きな
  さい。
     ・剣道の理念
      剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である。
    
     ・剣道修錬の心構え
      剣道を正しく真剣に学び
      心身を錬磨して旺盛なる気力を養い   
      剣道の特性を通じて礼節をとうとび
      信義を重んじ誠を尽くして
      常に自己の修養に努め   
      以って国家社会を愛して
      広く人類の平和繁栄に
      寄与せんとするものである。     
 

8 「切返し」の効果について列挙しなさい。
  (1)体勢を整え、身体のこりをとり、柔らかくする。
  (2)手足の力量を増し、両手の打突力を平均的にする。
  (3)前後、左右の動作を軽快にし、打突を正確にする。
  (4)拳の返しをよくする。
  (5)大きな発声ができるようになる。     
 

9 「目付け」について説明しなさい。
  自分の目の付けどころをいい、基本的には相手の目を見ながらも身体全体
  に意を配る。  
  「遠山の目付け」「観見二つの目付け」などの教えがある。
   「遠山の目付け」とは、相手の目を見つめると共に、はるか遠くにある
  山を見る様に全体を見て、どこに弱点があるか全体を見極める目付けであ  
  る。
   「観見二つの目付け」とは心の目、即ち気の働きを養い、物事の内側に
  秘められた本質を深く見る目と、物の表面に現れた、いわば現象を見極め
  る目付けである。     
 

10 「打突の機会」を列挙しなさい。
  (1)出頭(起こり頭)
  (2)受け止めたところ。
  (3)技の尽きたところ。
  (4)身体又は心の居ついたところ。
  (5)狐疑心が生じたところ。
  (6)四戒(驚懼疑惑)が生じたところ。
  (7)虚になったところ。     
 

11 「打込み稽古の効果」を5つ以上列挙しなさい。
  (1)姿勢が端正になる。
  (2)身体が強健になる。
  (3)手足の力を増し、動作が素早くなる。
  (4)技術の向上が早くなる。
  (5)呼吸が長くなる。
  (6)打ち間が明らかになる。
  (7)驚懼(恐)疑惑を去り、心気力が一致する。
  (8)打突が強くなり、手の内が冴える。
  (9)思い切りの良い打突ができる。気を養う。
  (10)物に動じない。胆力が練られる。     
 

12 「四戒」について説明しなさい。
  「驚(きょう)・懼(く)・疑(ぎ)・惑(わく)」の精神状態が生じな
  いように、心を制御することが重要であるという戒めである。
  (1)驚 予期しない事態に驚いて、心身の活動が乱れ、正常な判断と適切 
     な処置がとれず、為す術のない状態になる。
  (2)懼(恐) 恐怖のことで、相手を恐れて、精神の活動が停滞し、四肢
     が震えて自由な動きを失う。
  (3)疑 相手の気持ちや行動をあれこれと疑い、平静な判断を下せず、決
     断ができない状態である。
  (4)惑 心の迷いである。心が迷うときは精神昏迷、敏速な判断や軽快な
     動作をなすことはできない。     
 

13 「掛かり稽古」について説明しなさい。
  下位の者が、上位の者に掛かって、稽古をつけてもらう稽古法である。
  掛かる者は、相手に打たれるとか、打突をかわされるとかは一切念頭にお  
  かず、これまで習得した「しかけ技」を主として用いて、短時間のうちに
  気力、体力が続く限り、身を捨てて、自由に、強く、激しく、打ち掛かる
  稽古法である。  
  「掛かり稽古」は「打ち込み稽古」と似ているが、「打ち込み稽古」は
  元立が打突の機会[隙]を与えたところを打突し、基本を習得する方法で
  あるのに対して、「掛かり稽古」は、掛かる者の意思により打突する技を
  上位の者が無理な打突や正しくない技は打突させず、逆に正しい打突は引      
  き立てて打突させるなどして、掛かる者に正しい間合、機会、体の運用、      
  構えなどを会得させる稽古法である。        
 

14 「手の内」について説明しなさい。
  竹刀の握り方、打突したり応じたりするときの両手の力の入れ方、緩め方 
  、釣り合いなどを統合した掌中の作用である。竹刀を強く握り締めないで
  正しく保持し、手首をリラックスさせることにより、肩、肘、手首、掌へ
  と運動が伝導し、効率のよい鋭い打突が可能になる。     
 

15 「審判員の心得」について一般的要件と留意事項を列挙しなさい。
  一般的要件
  (1)公平無私であること。
  (2)剣道試合・審判規則、運営要領を熟知し、正しく運用できること。
  (3)剣理に精通していること。
  (4)審判技術に熟達していること。
  (5)健康体で、かつ活動的であること。
  留意事項
  (1)服装を端正にすること。
  (2)姿勢・態度・所作などを厳正にすること。
  (3)言語が明晰であること。
  (4)数多く審判を経験し、反省と研鑽に努めること。
  (5)よい審判を見て学ぶこと。
    
 

16 「日本剣道形を実施するときの留意点」について述べなさい。
  日本剣道形は、一定の形式と順序に従って行う一連の約束動作であるが、
  形を形骸化させない生きたものにするために、お互いが寸分の緩みない気
  の働きをもって行わなければならない。
  (1)立会い前後の作法、立会いの所作、刀の取り扱いを適切に行う。
  (2)五つの構えと小太刀の半身の構えを正しく行う。
  (3)目付けや呼吸法を心得て、終始充実した気勢、気迫をもって合気で行
     う。
  (4)打太刀(師の位)、仕太刀(弟子の位)の関係を理解し、原則として
     打太刀が先に動作を起こす。
  (5)「機を見て」「入り身になろうとする」といった打突の機会を理解し
     て行う。
  (6)打太刀は一足一刀の間合から打突し、仕太刀は物打ちで打突部位を正
     確に打突する。
  (7)振りかぶりは、剣先が両こぶしより下がらないようにし、一拍子で打
     つ。
  (8)足さばきはすり足で行い、打突するときは後ろ足を前足に引き付ける。
  (9)残心は充分な気位をもって行う。
      
 

17 「剣道指導の心構え」について述べなさい。

  (竹刀の本意)

   剣道の正しい伝承と発展のために、剣の理法に基づく竹刀の扱い方
   の指導に努める。

     剣道は竹刀による「心気力の一致」を目指し、自己を創造していく道である。
    「竹刀という剣」は、相手に向ける剣であると同時に自分に向けられた剣でも
    ある。この修錬を通じて竹刀と心身の一体化を図ることを指導の要点とする。     

  (礼法)

   相手の人格を尊重し、心豊かな人間の育成のために礼法を重んずる  
   指導に努める。   

     剣道は、勝負の場においても「礼節を尊ぶ」ことを重視する。お互いを敬う  
    心と形(かたち)の礼法指導によって、節度ある生活態度を身につけ、「交剣      
     知愛」の輪を広げていくことを指導の要点とする。     

  (生涯剣道)

   ともに剣道を学び、安全・健康に留意しつつ、生涯にわたる人間形 
   成の道を見出す指導に努める。   

     剣道は、世代を超えて学びあう道である。「技」を通じて「道」を求め、社 
    会の活力を高めながら、豊かな生命観を育み、文化としての剣道を実践してい      
     くことを指導の目標とする。     

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