大浦町の伊勢講行事 - 伊勢参宮の道中再現劇(馬方踊り)と疱瘡退散を願う疱瘡踊り | 鹿児島の民俗 - 薩摩民俗HOME

大浦町の伊勢講行事

1 南さつま市大浦町の伊勢講行事

大浦町地図南さつま市大浦町には7集落で,2月11日に御伊勢講行事が見られる。いずれも伊勢神宮の大麻の収められた木製の祠を祭る行事。

それに伴って,@棒踊りとA疱瘡踊り(馬方踊り)が奉納される。また,御伊勢講の祠を迎えに出るBオンケ(お迎え)という習俗も見られる

伊勢の神は賑やかなこと・荒々しいことを好む神とも伝えられることから,オイセサンを喜ばせ,集落安泰・厄病退散を願うさまざまな習俗が伝承されている。

疱瘡踊りは鹿児島県指定無形民俗文化財。


●2005年大浦町の御伊勢講伝承地一覧

集落名 午前 午後

(さかき)
9:00 疱瘡踊り
(榊研修館)
13:00 棒踊り
(榊研修館〜集落内8箇所)
福元
(ふくもと)
13:00 棒踊り(福元公民館)
平原
(ひらはら)
13:00 棒踊り(平原公民館)
13:30 疱瘡踊り(同公民館)
永田
(ながた)
15:00 棒踊り(永田公民館)
15:30 疱瘡踊り(同公民館)
有木
(ありのき)
13:00 疱瘡踊り(有木公民館)
上之門
(うえんかど)
14:00 棒踊り(上之門公民館)
14:30 疱瘡踊り(同公民館)
大木場
(おおこば)
15:00 オンケ(大木場公民館〜集落内)
(2006年,伝承者不足により,幾つかの集落で中止されました)

2 大浦町有木の伊勢講行事(疱瘡踊り)

疱瘡踊り●調査日:2005.2.11 午後1時から
●調査地:大浦町有木(ありのき)集落公民館

大浦町の伊勢講で奉納される郷土芸能には@棒踊りとA疱瘡踊り(馬方踊り)がある。馬方踊りは,伊勢参詣の道中の模様をユーモラスに表現した劇。疱瘡にかかった旦那と馬方(馬子)が,茶屋を訪れる。これは南薩摩地域各地に残っており,南さつま市加世田小湊では「チャヤンカカ」とも呼ばれる。この馬方踊りののち,榊やボンテンを手に持ち,祓い清めるしぐさをする「疱瘡踊り」が踊られる。伊勢の神は賑やかなこと・荒々しいことを好む神とも伝えられることから,伊勢講ではオイセサンを喜ばせ,集落安泰・厄病退散を願うさまざまな習俗が伝承されている。疱瘡踊りは鹿児島県指定無形民俗文化財。

動画:有木の疱瘡踊り]→


3 大浦町榊の棒踊り

榊の棒踊り●調査日:2004.2.11 午後1時から
●調査地:大浦町榊集落

鹿児島の郷土芸能でよく目にするのが,太皷踊りと棒踊りである。大浦町榊集落では,春のオイセコウの日に,棒踊りを披露して集落内を回る。踊り子は,12名ほど。歌は他の地域と同じく,オセロガヤマデ,マエハオオカワ…(後が山で前は大川…)。この日の午前中には疱瘡踊りがある。

動画:榊の棒踊り]→

4 大浦町大木場のオンケ(お迎え)

大木場のオムケ(お迎え)大木場のオムケ(お迎え)●調査日:2005.2.11 午後3時から
●調査地:大浦町大木場集落公民館から集落一周して公民館へ戻る

○オンケは鬼化とも書かれることがあるが,「お迎え」がなまったものと考えてよい。大浦では大木場だけに,宿移りの名残としてオンケ習俗が残る。他の集落でも,かつては宿移りに仮装したり,祠をたたいたりしてにぎやかな習俗があったようだ。棒踊りや疱瘡踊りなどに目が行きがちだが,御伊勢講本来の姿を残す町内唯一の習俗,それがオンケだ。午前中には集落の西・北・南にある3日所の聖地に出向く登山がある。この日は聖なる1日であり,農家の休み日であった。

動画:大木場のオンケ]→

[薩摩民俗HOME]  [サイトマップ]  [民俗INDEX]


(C) 2006 薩摩半島民俗文化博物館 - 鹿児島・半島文化 - 半島文化へのお便り