集英社文庫
     
          ONE
        リチャード・バック
          平尾 圭吾  訳
      コックピットに琥珀色の閃光がピカッと走った―。その瞬間、
      いままで視界にひろがっていたロサンゼルスの街が消えて
      飛行艇グロウリーに乗りこんだリチャードと、妻のレスリーと
      の不思議な愛の旅が始まった。同時に存在するもうひとつの
      人生、自分以外の自分をかいま見るふたり。鬼才リチャード・
      バックが《パラレル・ワールド=併用世界》へと読者をいざな
      う、味わい深いファンタジー!
    
     ―わたし達の知っている世界は、一瞬ごとに異なった未来と異なった過去をもつ無数の別
     な世界に分れていく―
     あらゆる「可能性」は無限の併用世界の中で実は実現している。
     もし、そんな併用世界を尋ねることが出来たら。。?
  

        ―文中から―
        「―わたしたちはひとつの人生にフォーカスを合わせて、それだけがすべてだと思い込んで
        いる。でもほんとは、ほかの側面が数限りなくあって、わたしたちが夢だとか願望、仮定だと
        か考えるボヤけた側面も、実はまったく同じ現実なのよ。わたしたちが勝手に自分のフォー
        カスを選んでるだけなのね」
        「ぼくたちが物理に魅かれるのはそのせいかな? 量子力学だの、超時間だのに魅かれる
        のは?途方もないことばかりたけど、すべて正しいということ?過去の人生も、未来の人生も
        ないのにある一点にズームインしたためにそれが動いてると錯覚し、勝手に時間なんてもの
        を発明した、そうなんだね?時間の流れにまきこまれて、これが存在する唯一の人生だと思
        い込んでる。そうだろ?パイ」



    子供の頃、しんとした眠れない夜に考えたこと。
    自分が生きてるこの世界ってなんなんだろう。家があって家族がいて、ご飯を食べたり、眠っ
    たり、している。何でだろう何でこんな世界があるんだろう・・・ そう考えてるうちにいつのまに
    か眠ってしまって、朝になったら忘れてるんですけど(^^; でも、この世の中って不思議なことが
         いっぱいですよね。